到着したホテルは町屋家のホテルで、これまた豪華だった。

未月なニセモノ王子様キャラで、あたしの荷物を持ってくれた。

(このクソ王子‼︎)

あたしは心の中でそう思いながら未月の後をついて歩いた。
最上階に着くと、

「朱莉の部屋はあっちな。俺はこっちだから。じゃーな」

とあっさり別れた。
ずっと未月と同部屋だったから、この数日間は未月から開放されると気付くと一気に元気が湧いた。
部屋に向かう足取りも軽くなる。

部屋を開けると、もう先に誰かがいた。

「これから数日間よろしくお願いしますわ、桜村さん」

いかにもお嬢様!という感じの彼女は鏑木杏菜(かぶらぎあんな)というクラスメイトだった。

「あ…よろしくお願いします」

正直鏑木さんがルームメイトで安心した。
鏑木さんは未月を囲うグループの女子ではなかったからだ。