「実紗、帰るぞ」
葵君はそう言い、実紗の腕をキツクつかんで歩き出す。
「ちょっと……!!」
あたしは慌ててその後を追った。
「陽子、あたしは大丈夫だから。だから、陽子は早く帰って」
不安そうな表情を浮かべてそう言う実紗。
「あ……」
そう言われてあたしは蒼太の事を思い出した。
あたしは蒼太になんて伝えて出てきたんだっけ?
そう考えたとき、一瞬にして周囲の音が消えた。
綺麗なアーケードも、パン屋のにおいもあたしには届かなくなった。
言ってない。
あたし、蒼太に出掛けるということを伝えてない……!!
『部屋に戻って大人しくしていてね』
出かける前に自分が言った言葉を思い出し、青ざめる。
蒼太はあたしが家にいると思っている。
すぐに部屋へ戻ってくると思って待っている。
葵君はそう言い、実紗の腕をキツクつかんで歩き出す。
「ちょっと……!!」
あたしは慌ててその後を追った。
「陽子、あたしは大丈夫だから。だから、陽子は早く帰って」
不安そうな表情を浮かべてそう言う実紗。
「あ……」
そう言われてあたしは蒼太の事を思い出した。
あたしは蒼太になんて伝えて出てきたんだっけ?
そう考えたとき、一瞬にして周囲の音が消えた。
綺麗なアーケードも、パン屋のにおいもあたしには届かなくなった。
言ってない。
あたし、蒼太に出掛けるということを伝えてない……!!
『部屋に戻って大人しくしていてね』
出かける前に自分が言った言葉を思い出し、青ざめる。
蒼太はあたしが家にいると思っている。
すぐに部屋へ戻ってくると思って待っている。