そう言う葵君の声は低く怒っているようだった。


咄嗟に嫌な予感が胸をよぎる。


また、あのコンビニでの出来事みたいになったらどうしよう。


人がいっぱいいるゲームセンターで葵君が手加減せずに行動するところを想像すると、サッと青くなる。


だから、あたしは咄嗟に嘘をついていた。


「み、実紗ならさっき表の商店街を歩いていたよ」


そう言い、表を指さす。


すると葵君は「そうか。ありがとう」と言い、すぐにゲームセンターを出て行った。


あたしはその後ろ姿を確認してから、慌てて実紗の元へと駆け寄った。


「実紗! さっ葵君が来てたよ!」


あたしがそう言うと、実紗はゲームをする手を止めて「え?」と、あたしを見た。


「葵が? なんで?」


「わからない。ここへ来ることは伝えてないよね?」


「うん、言ってない」