商店街は沢山のお店が立ち並び、買い物の人々で賑わっていた。


あたしたちはパン屋さんでパンと2つずつ買い、お店の前に設置されているベンチに座った。


実紗は噛みちぎるようにパンを食べて、あたしは少しずつちぎって口に運んだ。


「ねぇ、有里はこのこと知っていたのかな?」


不意に、実紗がそんなことを言いだした。


「え? 有里が?」


あたしは目をパチクリさせる。


「藤井さんが個人情報を売買しているって知っていて、あたしたちに彼氏人形をお勧めしたのかな?」


真剣な表情でそう聞いてくる実紗。


「まさか、そんなことするかな?」


いくら派手な有里でも、クラスメイトを売るような行為をするとは思えない。


あたしは実紗の言葉に、否定の意味を込めて首を振った。


「そうかなぁ……」