あたしはそっとお店のドアに近づき、中が見えないかと隙間をのぞいてみた。


しかし、中は真っ暗でなにも見えない。


「明日も今日くらいチラシが入っていたらどうしよう……」


両親に問い詰められた時、蒼太を買った事をごまかし切ることができるだろうか?


「しばらくは朝早く起きてポストをのぞいてみるしかないね」


実紗がそう言い、ゆっくりと立ち上がった。


相当イライラしているようで、子供のように小石を蹴飛ばす実紗。


「今日、どうせだから遊んで帰ろうよ」


そんな実紗に、あたしは明るく声をかけた。


お店にもいないし、携帯電話も通じない。


これじゃあ、あたしたちにできる事はもうなにもない。


少しでも暗い気分を晴らすために、あたしたちは商店街で遊んで帰ることにしたのだった。