電話を切った後すぐに実紗との約束場所へ行くと、実紗はすでに到着してイライラしたようにあたしを待っていた。


「ごめん、怒ってる?」


「ううん。いや、怒っているけれど陽子に対して怒っているワケじゃないから」


実紗はそう言うと、すぐに歩き出す。


行先は当然【ドールハウス】だった。


「本当に藤井さんがあたしたちの個人情報を流したのかなぁ?」


「わかんない。でも、あたしたちが同時に買ったものって彼氏人形だけでしょ」


「そうだよね……」


明るく、優しく彼氏人形について説明してくれた藤井さんを思い出す。


とても悪い人のようには見えないけれど、実際はどうなのかわからない。


「ねぇ陽子はもう彼氏人形の支払いした?」


「うん。もうした」


「そっか」


「実紗は?」


「あたしも、もう終わらせた」