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実紗は大きな公園のベンチで肩を落として1人で座っていた。


その格好はバイトが終わった時と同じ服装で、秋の夜にはどう見ても寒すぎる。


あたしはすぐに実紗へ駆け寄り、「大丈夫!?」と、声をかけた。


実紗はゆっくりと顔を上げたが、その目は随分と泣いたのだろう、赤くなっていた。


「陽子……どうしよう……」


実紗が冷たい手であたしの手を握る。


あたしはその手を温めるように握り返した。


「大丈夫、きっと見つかるから」


なんの根拠もなかったけれど、そう言うしかなかった。


「もう一度一緒に探そう?」


そう言うと、実紗は泣きはらした顔で小さく頷いたのだった。