あたしと実紗は慌てて2人を止めた。


蒼太の持っていた箸が音を立てて床に落ちる。


「これはあたしたちが食べるもので、あなたたちは食べちゃダメ」


実紗がキツクそう言う。


「蒼太と葵君にはバッテリーが付いていてね、充電すれば大丈夫なのよ」


あたしはそう言い、バッテリーの入っている背中をトンッと叩いた。


蒼太と葵君は互いに目を見かわせて、そして同時に小首をかしげた。


どうやら理解できていないようだ。


人形は人間に近づくように作られているため、時にこうした混乱が起きるのだと、藤井さんは言っていた。


だけど、それも根気強く教えれば大抵問題なく、日常生活を送ることができるようになるらしい。


「とにかくこれは食べちゃダメ。わかった?」


そう言いあたしは残りのパスタを口に入れた。