せっかく初めてのデートなんだから、時間がかかってもちゃんと服を選べばよかったのかもしれない。


しかし実紗はそんな事気にしていない様子で、運ばれてきたオムライスを口に運ぶ。


「不釣り合いは百も承知よ」


「そっか……」


あたしたちの理想彼氏は作ったけれど、あたしたちが理想彼女というワケではない。


人間が骨格ごと変えようとすれば膨大な時間と費用がかかってしまう。


だから気にするだけ無駄なのだ。


そうとわかると途端に自分の容姿はどうでもよくなって、あたしも自分のパスタにフォークを伸ばした。


そうしてお腹を満たしていると、蒼太と葵が何を思ったのか各テーブルに設置されている箸を手に持った。


何をするのかと見ていると、2人ともあたしたちの食べ物に箸を伸ばしてきたのだ。


「ちょ、ちょっと、ストップ!!」