☆☆☆

あたしの意識が戻ったのは、暗闇の中だった。


首を動かそうとしてもびくともしない。


手足もちっとも動かなくて、感覚もない。


あたしは一体どうしてしまったのだろう?


思い出そうとしても、全く思い出せない。


あたしの名前はなんだったっけ?


何歳だっけ?


すべてが抜け落ちている。


白紙の状態の自分に恐怖を感じた。


何も持っていない、何者になれていないのだということがわかった。


次にあたしは、自分の右手の感触が突如として蘇ってきた。


部屋の中の温度や、人が歩いた時の空気の流れを感じる。


そして左手。


右足、左足。


まるで別々のパーツが組み立てられて感覚を得ているようだった。


最後に、あたしは自分の腹部に何かを差し込まれる感覚を感じていた。


痛みはない。