あたしは蒼太と2人で赤上さんの家へ戻ってきていた。


チャイムを押すと、すぐに先ほどの母親が姿を現す。


「あら、あなたたち……」


母親の言葉を聞かず、あたしは蒼太と一緒に家の中に入り込んだ。


「ちょっと、なにするんですか? 紀子はどこに?」


焦って聞いてくる母親を、あたしは睨みつけた。


「紀子さんは、一度亡くなっていますよね」


鋭い口調でそう言うと、母親の表情は一変した。


サッと青ざめ、挙動不審に周囲を見回す。


「今存在している紀子さんは【彼女人形】ですよね?


そして【彼女人形】として蘇らせることを望んだのは、あなたですよね?」



あたしはグングン詰め寄り、母親に逃げる隙を与えない。


「なんのことかしら?」


「しらばっくれるな!!」


あたしはドンッと壁を殴りつけて、そう怒鳴った。


今までに感じたことのない怒りが内側から湧いてくるのがわかる。


「どうして蘇った紀子さんは【彼氏人形】を販売するようになったんですか!?


あの人形の恐怖はあなたも知っているハズでしょう!? どうして止めなかったんですか!!」


「そ、それは……」


あたしの気迫に押され、母親は目に涙を浮かべ始めた。