あたしは蒼太から距離を置いたまま、手早く部屋着に着替えていた。


あたしは明日このファイルをすべて確認する。


このファイルにあたしのすべてをかけていると言っても、過言ではなかった。


あたしはファイルをベッドの下へ入れて蒼太の目から隠した。


その瞬間気配がしてハッと振り返る。


気が付けば、蒼太が真後ろに立ってあたしを見下ろしていた。


その目は笑っていない。


「蒼太……」


「今日は随分遅かったね」


蒼太が低い声でそう言ってくる。


あたしはベッドの上のクッションを抱きかかえた。


少しでも身を守るためだ。


「今日は……実紗のお葬式だったから……」


「お葬式の後一旦戻って来たじゃないか。その後、俺には何も言わずに部屋を出て行った」


蒼太は目を吊り上げ、追い詰めてくる。