「そうだったんだ。よかったね!」


「あ、でもあたし腕がこんなのだから、陽子には迷惑かけちゃうよ?」


実紗がまた申し訳なさそうな表情を浮かべる。


「何言ってるの。実紗と一緒に働けるのすごく楽しいから、それだけで十分!」


あたしはそう言い、ほほ笑んだ。


「ありがとう」


実紗もそう言ってほほ笑んだとき、階段へと続く灰色のドアがギィッと音を立てて開いた。


視線をやると、そこには担任教師が立っていた。


「お、2人ともこんなところで昼飯か」


若くてかっこいいことで評判の先生だ。


「先生、なにしてるんですか?」


「俺? 俺は女子生徒たちから逃げてきた」


そう言いへらっと笑って見せる先生。


「女子生徒から?」


「そう。俺今日誕生日なんだ」


そう言われ、あたしと実紗は「「あっ!!」」と、声をあげた。