翌日の昼休み、あたしと実紗は屋上へと上がってきていた。


ここは人がほとんど来ないから、話をするにはちょうどいい場所だ。


「昨日考えてみたんだけどね」


昼ごはんのパンを1口食べて、実紗が言った。


「なに?」


「【彼氏人形】ってスイッチも大切だけど、最初に入れていたメモリーカードも大切なんじゃないかな?」


そう言われ、あたしは購入するときに藤井さんがカウンターから取り出した黒い小さなメモリーカードを思い出した。


あれには【彼氏人形】の性格や彼女であるあたしの情報が入っている。


「メモリーカードを抜くことができれば、リセットされないなか?」


「そっか。リセットされるかもしれないよね」


本体の動きを止められなくても、記憶を消してしまえば動かなくなるかもしれない。


でも……。


問題はメモリーカードがどこに差し込まれているかだ。