「すごく上手ですね」


そのクオリティの高さにあたしは思わずそう言った。


「でしょう? イラストレーターになりたいって口走っていた時期もあるわ」


「亡くなる前には諦めていたんですか?」


「えぇ。買っていたイラスト関連の本も全部捨ててしまったのよ


それ以降この部屋は閑散としてきたの」


「夢をあきらめた理由ってなんですか?」


あたしは依子さんのイラストを見つめて、そう聞いた。


中学生や高校生でここまでの作品が描けるなら、諦める必要なんてなかったと思う。


「わからないわ。聞いちゃいけないような気がして、聞けなかったの」


「そうですか……」


恭子さんの気持ちはよくわかる。


あたしは並んでいるフォルダを1つづつ確認していった。


フォルダには日付が付けられていて、一番下が一番新しい日付になっている。


あたしはそのフォルダを開けてみて、唖然とした。