あたしは引き出しの奥にあるペンタブレットを指差してみせた。


「これはイラストを描くときに使う道具なんです。


だけどこんな奥にしまわれているという事は、依子さんは亡くなる前にあまりイラストを描かれていなかったのかもしれません」


「あら、そうなの? そんなの全然気が付かなかった」


恭子さんは目をパチクリさせる。


道具を重たい教科書の下にしいておくなんて、普通では考えられない。


依子さんは、大好きなイラストも描けないような状態だったかもしれない。


あたしは引き出しを閉めてパソコン画面を見つめる。


特に変わったところは見当たらない、ごく普通のパソコンだ。


トップ画面にはいくつかフォルダが作成されていて、それを確認してみると依子さんのイラストが出てきた。


かわいらしい女の子や動物のイラストだ。


カチッとしたイラストではなく、少し崩したようなフワッとした雰囲気のイラストが並んでいる。