最後の手紙を読み終わると同時に、あたしは恭子さんを見た。


3通目になって多田明の寂しい心の内が出てきているような気がする。


そして2人の文通はここで終わっているのだ。


こんな文面を見た依子さんはどんな気持ちになっただろう?


心配して、すぐに返事を書いたんじゃないだろうか?


「この手紙は1年前の手紙なの」


後ろから恭子にそう言われ、あたしは初めて切手に押された差し出し印鑑に目をやった。


たしかに今から1年ほど前の日付になっている。


出された場所はここから遠く離れた県からになっている。


「依子さんは返事を書かなかったんですか?」


「いいえ、もちろん書いていたわよ? でも、返事はこなかった……」


恭子さんの声が沈む。


嫌な予感が胸をよぎった。


その理由を聞いてもいいかどうかためらわれて、あたしは視線を泳がせた。