読み終わって封筒に戻そうとすると、なにかが引っかかってなかなか手紙が入らない。


封筒の中を覗き込むと、そこには綺麗にラミネート加工されてシオリになった桜の花びらが入っていた。


依子さんはこの多田明という人のことが好きなんだ。


直感的にそう感じた。


そして多田明という男の人も、きっと依子さんが好きだった。


じゃあ、どうして彼氏人形なんて作る必要があったんだろう?


そう考えて首を傾げる。


遠距離恋愛ができなかったとか、好きな気持ちを結局伝えることができなかったとか、いろいろと当人同士での理由はあるのかもしれない。


あたしは、2つ目の手紙に手を伸ばした。