「あたしは数日前彼氏人形を購入しました。その彼氏人形に、腕を折られたんです」


恭子さんから目をそらさずキッパリと言い切った実紗。


「……そんな……嘘でしょう?」


「これは本当のことなんです。陽子もあたしと同じときに彼氏人形を購入しました。


陽子の作った彼氏人形は優しい性格に設定しているんですが、それでも蹴られたり踏みつけられたりしています」


恭子さんがあたしを見る。


あたしは「そうなんです」と、うなづいた。


「彼氏人形は最後には相手を殺してしまう。どの噂でも、そうなっているみたいなんです」


「恭子さんお願いです。依子さんが彼氏人形を購入したかどうか知りたいんです!」


あたしはそう言い、少し体を後方へとずらし、畳に額をくっつけるようにして頭を下げた。


実紗も、それに続いて同じように頭を下げる。


「ちょ、ちょっとやめてよ……」


恭子さんの慌てる声が聞こえてくる。


だけど、ここで引き座がるワケにはいかない。


良子さんを通じてせっかくここまで来たんだ。


なにか少しでもいい、ヒントを得て帰りたい。