そして、「なに言ってるの」と、笑い始めた。


あたしが冗談を言っていると思っているみたいだ。


「良子さん、冗談じゃないんです」


「えぇ? 冗談でしょう?」


「あれは本当のことなんです!」


強くそう言うと、良子さんは笑うのをやめて徐々に真剣な表情へと戻って行った 。


「まさか、本当に彼氏人形があるっていうの?」


「そうです」


「一体、どういうこと?」


怪訝そうな表情になる良子さんに、あたしと実紗は丁寧に今までの出来事を話してきかせた。


良子さんは時折目を見開いて驚き、実紗の骨折の原因を知った時は青ざめた表情になった。


「これが、その彼氏人形です」


最後に実紗が携帯電話を取り出して葵君とのツーショット写真を良子さんへ見せた。


「うそっ! これが人形!?」


「そうです」


実紗はうなづく。


良子さんは食い入るように携帯の写真を見ている。