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「なんか、全部見透かされてたね」


お店を出てから実紗がポツリと言う。


「接客業だからでしょ」


あたしは適当な返事をする。


今日初めてであった人に図星をつかれて、少しイライラしているのが自分でもわかった。


「たとえばさ、最初にお店に入ったのが【ドールハウス】じゃなくてさっきのガラス細工店だったら、あたしたち今頃どうなっていたのかな」


「そんなのわかんないよ。今初めて入ったんだし」


あたしは実紗の言葉にイライラしながら返事をして、【ドールハウス】の左隣の店へと足を急いだ。


左隣の店は焼き鳥屋さんで、お店のドアを開けると鶏肉が焼けるいい匂いと、ジュージューと食欲をそそる音が聞こえてきた。


「へい、らっしゃい!!」


まるで魚屋さんのように威勢のいい声が出迎えてくれる。


あたしは慌てて「ちょっと、聞きたいことがあるんです!」と、自分たちはお客さんじゃないということをアピールした。