「あの、やっぱり高いですか……?」


実紗が恐る恐るという感じで値段を尋ねる。


すると藤井さんは「そうでもないわよ?」と、近くにあった腕のパーツを1つ手に取り、あたしたしの前に差し出してきた。


そのリアルさに思わず後ずさりをするあたし。


しかし実紗は平気そうにその商品を手に取った。


「これ2000円なんですね」


「えぇ。腕の形や大きさによって少し上下するけれど、だいたいその程度よ。他のパーツも高くて3500円までね」


意外とリーズナブルな値段に、実紗が真剣に買うかどうかを思案し始めた。


「でも、これで理想的な彼氏ができるのって外見だけですよね?」


あたしは、ふと疑問に感じたことをそのまま口に出した。


「あぁ、それなら大丈夫。自分好みに性格もカスタムできるのよ」


そう言い、藤井さんはレジ台の下から小さなメモリーチップを取り出した。


「このチップに理想的な相手の性格を保存して、彼氏人形に差し込むの。


そうすれば完全に自分の好みの男の子が出来上がるってわけ」