もうすぐホールムールが始まる時間、あたしたち３人は校舎裏へと来ていた。


この前実紗と話したときのように屋上へ出ようかと思ったのだが、有里が誰かに話を聞かれることを恐れ、外がいいと言ったのだ。


そこまでコソコソ話をしなければいけないという事は、有里は重大な何かを知っている可能性がある。


「有里は一体何を隠しているの？」


日が当らずジメジメしている校舎裏へ来て、あたしは有里にそう聞いた。


「……ごめん……」


有里は派手な見た目からは想像できないくらい小さな声でそう言った。


「彼氏人形が不良品だって、知っていたんでしょう？」


実紗がそう聞く。


すると、有里は驚いたように実紗を見た。


「不良品って……？」


「あたしたちが買った彼氏人形はすごく凶暴化する不良品だったのよ。実紗は人形に腕を折られたのよ」