「あ……ごめん。両親に蒼太の事がバレたら、怒られちゃうからつい……」


「俺の事、両親には言ってないの?」


蒼太がそう聞いてくる。


あたしは「そうよ」と、頷いた。


「どうして?」


「どうしてって……」


なんて返事をすればいいんだろう?


高級な買い物だし、彼氏人形なんて得体のしれないものだし、反対されるのは目に見えている。


返品や交換もできないとわかった今、両親にバレれば蒼太を捨てられてしまうかもしれない。


「俺たち付き合っているのに、どうして秘密にするんだ?」


返事に困って黙っていると、蒼太の声がワントーン低くなった。


「待って、怒らないで?」


その表情がみるみる冷たくなっていく。