「今日は陽子のご両親が出かけて行く音が聞こえたから、帰りを1階で待たせてもらったんだ」


そう言って微笑む蒼太。


「なんでそんな勝手なことするの? お母さんたちに見つかったらどうするの!?」


今日は偶然あたしの方が先に帰って来たからよかったけれど、両親が先に帰ってくる場合だってあるだろう。


「陽子が1人になるのがかわいそうだと思ってね」


「あたしは大丈夫だから、早く2階へあがってよ! 買い物に出ているだけだったら、すぐに戻ってきちゃうんだから!!」


そう言い、あたしは蒼太の手を掴んで2階へと上がる。


部屋のドアを開けて蒼太を入れた。


「陽子、俺が待っていたのに嬉しくないの?」


「え?」


「すごく怖い顔をしているけど」


そう言われて、ようやく自分が険しい表情をしていたことに気が付いた。