そしてお店を出る寸前。


「返品なんてできないわよ」


藤井さんの、そんな言葉が飛んできたのだ。


あたしたちは立ち止まり、振り返る。


そこにはにやけたように笑う藤井さんの顔があった。


「どういう事ですか?」


「人形を連れて帰ってその機能を使うということは、すでにキズものになっているってことよ。


それに、あなたたちの好みで作っているんだから、他の人に売れる可能性も低い。

だから、返品も交換もできないわ」


「そんな……!!」


「それじゃぁ、あたしたちはどうすればいいんですか!?」


実紗が悲痛な声を上げる。


これから家に帰ると葵君がいる。


それが耐えられないのだろう。