「俺がなにやったって、アイツには勝てないわけ。でもただ、一つだけ。絶対渡したくないモノがあんだ」
「渡したくない、モノ…？」
「あぁ。これだけは絶対、俺のもんにするって決めてんだ」

なんだろう？碧都の“渡したくないモノ”って。

言葉でも感じられるけど、碧都自身からも、それが伝わってくる。

スゴく碧都にとって、大切なモノなんだと思う。

「…それも、尚樹に取られちゃうって思うの？」

わたしが聞くと、碧都は一瞬間をあけたが、すぐに目を細め微笑んだ。

わっ、やっぱり碧都って笑うとキレイ…。

オトコなのに、その表現はおかしいけど、素直にそう思った。

「あぁ。きっと俺の隙を突いて、取りに行くだろうな」
「じゃぁ、隙を見せなきゃいいじゃない。全力でその“大切なモノ”を、守ればいいでしょ？」
「ふんっ、簡単に言うな」

碧都は、鼻で笑った。簡単じゃないことなのかなぁ？

碧都の隙を突いて取りに行く、って。そんなに二人にとって、大切なモノなのかなぁ？

「うーん、わたしにはよく分からないけど。その大切なモノ手に入ったら、わたしにも見せてね？気になるから‼︎」
「は？お前ってホント……」
「んー？」
「……なんでもねぇよ」

変な碧都。気になるから、言っただけなのになぁ。

わたしにも見せれないくらいの、大切なモノなんだろうか。