「マジ、すげぇオンナ」

ククッ、と笑う碧都はわたしの上から降りた。

碧都が降りて、わたしも立ち上がった。

「ねぇ、碧都」
「なに」
「碧都が今までオンナノコを抱いてきたのは、どうして?」
「はぁ?っんでそんなこと、」
「いいから、答えなさいよ」

きっと碧都が抱いてきたのは、理由があってのこと。

闇雲に誰かれ構わず、抱いたりなんかしないはず…と、思いたい。

わたしが問い詰めると、『チッ』と舌打ちをして、ドカリとベッドに腰をかけた。

「となり、座れば?」

“ポンポン”と、碧都がとなりを叩いた。少し間を空け座ると、碧都が笑った。

「警戒しすぎ。ま、無理もないか?俺、襲ったんだし?それも、たった今」
「碧都、そういうのいらない」
「ハイハイ」

めんどくせぇ、が全身から伝わってくる。『はぁ〜』と、長い溜め息が聞こえたあと、碧都が喋り出した。

「尚樹ってさぁ、昔っからカッコイイの。顔もイイ、性格もイイ、勉強もできて、スポーツも万能。女子の憧れだろ?」

確かに尚樹は、整った顔立ちをしてるよね。

性格もそこまで悪そうに見えないし。勉強、スポーツは今の尚樹を見ただけじゃ、分からないけれど。

でも、学生の頃。そういうダンシは、モテたかもしれない。

憧れ、として。