碧都の態度にキレたのは、尚樹だけじゃなくて。

「あーちゃん、そんな言い方はないんやないの?杏ちゃんが自分のモノにならないからって」
「そうだよ‼︎杏ちゃんは、みんなの杏ちゃんでしょ⁉︎」

楓や眞一郎までもが、碧都に対して怒った。

けど碧都は、顔色一つ変えずに。無言でタコ焼きをパックに詰めた。

碧都の態度が分からない。優しかったり、当たってきたり、バカにしたり。

楓や眞一郎の言ってることは、よく分からないけれど。

でもきっと原因は、わたし。目障りなのかな。

でも碧都がわたしに、働けって言ったくせに。

…やっぱり、わかんない。

「尚樹、ごめんっ…」

ずっと尚樹に甘えっぱなしだった。尚樹への気持ちがないくせに、ずっと引っ付いてるのは、よくない。

だから両手で尚樹の胸板を押して離れようとしたけど、尚樹はそれを許してはくれなくて…。

「もっと甘えてよ。そして、俺だけの杏になって?」

なんて、耳元で囁くもんだから、わたしの心の臓がバクバク騒ぎ出す。

「碧都なんて、ただのチャラ男でしょ。誰かれ構わず手出して。飽きたらポイッとして」
「あぁん?テメッ、今なんつった⁉︎」

尚樹の言葉に碧都が反応した。そりゃそうだ。

だって、碧都に聞こえるように、わざと大きな声で言ってたもの。