「こんなもんかな。分かった?」
「わ、分かるわけないじゃないっ‼︎」
「うーん、じゃぁ。次メロンね。氷は、もう作っておいたから。はい、いくよ」

返事もしてないのに、また同じ態勢で今度はメロンのシロップをかけていく。

「だいたい、こんなもん。なんとなく掴めた?」
「…全然」
「んー、まぁ。そのうち慣れるよ。はい、じゃぁお客さん待ってるから、ストロー挿して行くよ」

手の届くところにストローがあって、それを一本ずつ挿すと、可愛い二人組の元へ急いだ。

「お待たせしましたっ」
「ごめんね。この子、今日から入った新人なんだ。君たちなら待っててくれるかな、と思って…。怒ってない?」

何か接客してる尚樹って、ちょっと違う…。

笑顔だけど、営業スマイルっぽくて。声も優しいけど、何か違う。

「ぜっ、全然‼︎怒ってないです‼︎お姉さん、頑張ってくださいね‼︎」
「あ、ありがとう」

オンナノコたちは、頬を赤く染めて。しかも、わたしに優しい言葉までかけてくれた。

そのために、尚樹は付いてきてくれたんだ。

「ねぇ、タコ焼き二つちょーだい」

尚樹のことを考えていると、どこかで聞いた声が聞こえた。

声の主を見れば、さっき碧都に話しかけていたジョシ二人組だった。