「えっと…。イチゴとメロン、お願いします…」

さっきのことがあったから、恥ずかしくて顔が見れないよっ。

「了解。杏、氷やってみる?」
「えっ、いいの…?」
「うん、いいよ。うちのは簡単だから、サルでもできるよ」

さ、サル…。じゃぁ、わたしでも出来るね。

「これ、専用のカップね。ここに、こうやってセットして。はい、ここ押して?」
「…うんっ」

言われたボタンを押すと、きめ細かい氷が出てきた。

「わっ、フワフワぁ〜」
「うん、うちの氷は特注だからね。はい、出来た。じゃぁ、イチゴシロップかけて?」

指さされた場所には、わたしが最初に見た時にズラリと並んだシロップたちがあった。

そこからわたしは、イチゴシロップを手に取った。

「どれくらい、かけたらいいの…?」
「うーん、いつも適当だからなぁ」

唇を尖らせ、悩んだ顔をする尚樹。そして、『あっ』と声を出すと、わたしの後ろへ立った。

「はい、シロップ持って?」
「あ、うん…って、尚樹⁉︎」
「ほら、体で覚えて」

か、体で覚えるって…。こんなの、覚えられるわけないじゃない‼︎

尚樹は、後ろからわたしの手を握って氷に、シロップをかけたのだった。