そこをポンッと押すと、チンと音がしてお腹ら辺目掛けて、何かが飛び出してきた。

あ、そっか。ここから、お釣り渡すんだ‼︎スーパーや、コンビニでお買い物する時に見るもんね。

「じゃぁ、杏ちゃん。お釣り表示されてるやろ?その金額をお客さんに渡して?」
「うんっ」

えっと、お釣りは100円だけど、50円二枚にして…っと。

「はい、50円ずつのお返しですね」
「ありがとうございますっ」

二人のオンナノコは、笑顔で受け取ってくれた。

「はい、じゃぁ次や」
「えっ、まだあるの?」
「当たり前や。これじゃぁ、ただお金もろただけやんか」

喉の奥で、ククッと笑う楓。自分のことで精一杯だったわたしは、全然そんなこと頭になかった。

恥ずかしくなり顔を下に向けると、楓はわたしの腰を抱きクルッと回転させた。

「か、えでっ⁉︎」
「ほらっ。なーちゃんに注文して?」

あ、そっか…。注文しないといけないんだった…。

尚樹に言わなきゃいけないんだっ。顔を上げると尚樹は、こちらを見てニッコリ笑い、そして手招きした。

えっ、なに…?何となく行きたくなかったけど、仕事なんだしね。

深く考えちゃダメだっ、と尚樹に近付いた。