「ううん、なにもなかったよ?ただ、やっぱり初めてのことだから、疲れちゃって…。だから少しだけ、休ませてもらったの。ごめんね?」
「ふぅん、そっ」

当たり障りのない言葉で答えてみたけど、碧都の返事はスゴく素っ気なくて、胸の奥が少しだけ痛くなった気がした。

タコ焼きをクルクル回してる碧都の横顔がスゴく冷たくて、でもジッと見てることも出来なくて、目線を下にした。

「もういいよ」
「えっ…?」
「戻れば?なんなら、今日はもう帰っていいし」
「やだっ‼︎」

自分でも驚いた。碧都もビックリしたようで、目を大きくさせてるけど、わたし自身こんな大声を出すなんて、思いもよらなかった。

「…最後まで働きたい」
「あっそ…。勝手にどうぞ」

もしかしたら碧都は、何か気付いてるのかもしれない。

でもわたしが何も言わない、隠してるから、こんなにも素っ気ないのかもしれない。

いや、でも碧都って最初っから素っ気なかったし…。

これが碧都かもしれないし。あー、スゴくモヤモヤするっ‼︎

「碧都ーっ‼︎タコ焼き食べに来たよぉ‼︎」

そんな時、ピチピチの若いジョシ二人が馴れ馴れしく『碧都』と呼びながら話しかけてきた。

「おぅ」

短い返事をした碧都。チラッと横顔を見れば若干口角が上がっていた。

碧都、笑ってる…。わたしには、無表情なくせに…。

この場にいるのが苦痛になったわたしは、一歩ずつ静かに碧都から離れた。