「な、なんだよ‼︎俺らのことバカにしてんのかっ⁉︎」
「別に。バカにはしてないよ。だって“バカ”だろ、もう」

尚樹は“バカ”を強調して相手を煽った。そんなこと言ったら、相手は更に怒るのに…。

「碧都‼︎」
「あぁん?おい、眞一郎‼︎お前、ヒマしてんならこっち手伝え‼︎」

尚樹は、碧都の名前を呼ぶも、かなり忙しいらしく、眞一郎を見つけるなり碧都は叫んだ。

「お前、ココ潰れたらどうする‼︎」
「はぁ⁉︎」

少し距離があるせいか、二人は声を張って会話を続けた。

そして碧都は少し考えると、口を開いた。

「別に、いいんじゃねぇの‼︎遊びでやってんだし‼︎」

こんな適当なことがあるんだ…。別に潰れてもイイ、って…。

「な?碧都も、あー言ってんだ。お前らが何言おうと、俺らは痛くも痒くもないわけ」

碧都と尚樹の会話を聞いてた彼らは、もう何も言えないようだった。

ただ、『チッ』と舌打ちをして更にイスを“ガコン‼︎”と蹴飛ばすと、尚樹を睨み付けながら外に出て行った。

「なお、き…」
「大丈夫?ケガはないの」

さっきまで、ものすごく怖かった尚樹は人が変わったかのように、優しくなった。

あぁ、尚樹って。心を許した人には、優しくなるんだ…。

だって最初会った時の尚樹は、ものすごくイヤだったもん。

取っ付きにくくて、だから“ヤマネコ”ってあだ名を付けたんだ。