「タコさんタコさん、タコさんさ〜ん」

今、わたしと眞一郎はタコを切っている。

なんだけど、この歌はなんですか⁉︎メチャクチャ、変な歌なんですけど…。

えぇと、23歳だよね?こんな歌、唄って恥ずかしくないんだろうか。

まぁ、いいか。眞一郎だし‼︎

心の中で笑うと、わたしは手元に集中し、タコを切った。

「杏ちゃん、杏ちゃん‼︎早くタコさんしまって、海に行こう‼︎」
「はいはい、待って。今行くから」

何か、眞一郎が弟にしか見えなくなってきたぞ。

手早くタコを冷蔵庫に入れ、眞一郎と海の家を出る。

「どこ行くんだよ」
「あ。碧都。えと、眞一郎が海行きたいって、ダダこねたからちょっとだけ散歩してくるね?」
「ふーん、アンコは眞一郎がタイプなわけ」
「は…?どうしてそうなるのか、理解ができないんだけども…」

チョー不機嫌な碧都。どうして海に行くとなっただけで、そうなるんだろうか。

全然、分からない。

「分かれよ、ばばぁ」
「なっ…‼︎また、ばばぁって言って‼︎怒るわよ‼︎」
「もう怒ってんだろうが、アンコばばぁ」

アンコばばぁ、って…‼︎ホント、口の悪いライオン‼︎

「あー、そうですね‼︎わたしは、ばばぁですよ‼︎もう、碧都となんか喋りたくもない‼︎じゃぁね‼︎」

顔をプイッとし、碧都に背中を向けた時、後ろからグイッと腕を引っ張られた。

「なにっ、すんのよ」
「…ごめん」
「なにが?」
「喋りたくないなんて、言うな…」

また、さっきの碧都だ…。悲しい顔して、悲しい声して、わたしの心を掻き乱す。