「あおちゃーん‼︎」
「あ?」
「お手伝いすること、なぁい?」
「ない」

眞一郎が行った先は、碧都のとこだった。

しかも即答で断られてるよ…‼︎あー、しょげてる‼︎

「じゃぁ、杏ちゃんと海行って」
「タコ切っとけ」
「えぇっ⁉︎ナイって言ったじゃーん‼︎」
「んなこと言った憶えナイ」
「んもぅ‼︎」

眞一郎は、わたしと海に行こうとしてくれたみたい。

けど、途中で話を切られて。どうやら、“タコ”を切ることを任せられたらしい。

トボトボ戻ってくる眞一郎。

「杏ちゃん…。あおちゃんがタコ切ってってぇ…」
「うん、切ろうか」

すっごい落ち込んでるよ…。

「タコ、どこにあるの?」
「こっち…」

どんだけ、落ち込んでんだよ‼︎しょうがないなぁ…。

「ほら、早く切っちゃお?」
「うん…」
「海、行きたくないの?」
「えっ?」
「早く切って、ちょっとだけお散歩しよ?」

わたしがそう言うと、途端に眞一郎の顔がパァァッ‼︎と、明るくなった。

「ホントにっ⁉︎うんっ‼︎早く切ろう‼︎杏ちゃん、こっち来てー‼︎」
「はいはい」

ふふっ、単純な眞一郎だなぁ。たった一言で、こんなんになっちゃって。

イヤなことも忘れられちゃいそうだなぁ。