「あのね、杏ちゃん。接客は笑顔だよ‼︎」
「う、うん。笑顔、ね」

笑顔って、苦手だなぁ…。事務作業は、無表情だったから…。

「ほら、もっとリラックスして?」
「そんなこと言われてもねぇ…」
「お胸揉んであげようか?」
「リラックスできたわ‼︎ありがとう‼︎」

もぉ…。どうしてすぐに、そっちに持って行きたがるかなぁ…。

「そぉ?んー、リラックスしたくなったら、いつでも言ってね?すぐにモミモミしてあげるから‼︎」
「あは、あはは…。頭に入れとくわ…」

ほんとに、頭に入れとこ。間違って揉まれたら、一大事だわ‼︎

「じゃぁ、説明ね‼︎って言っても、何もないんだよなぁ」
「えぇっ⁉︎ちょっと、いやかなり不安なんだけど…」
「うーん、でもほら!説明受けるより、ボクの横に付いて見たほうが覚えるんじゃない?」

まぁ、確かに…。眞一郎の言うことも、一理あるかな。

どんなに説明されても、やってみなくちゃ分からないことだって、たくさんあるだろうしね。

「分かったわ。その都度、教えてもらってもいい?」
「もちろん‼︎あ、杏ちゃん‼︎まだお客さん来ないから、テーブルの確認しておこうか‼︎」
「テーブルの確認?」

わたしが首を傾げると、眞一郎はニッコリと笑った。