「ジャンケン…」

尚樹の案の通り、みんなでジャンケンをすることになった。

もちろん、わたしは見てるだけなんだけど。

ジャンケンなんて、子供の頃はよくやったのに、オトナになるとメッキリやらなくなった。

でもなんか、みんなを見ていたら、みんなオトナなのに、この時だけは子供に戻ってる感じに見えて。

少しだけ、うらやましく感じた。

『勝ったー‼︎』つって、喜んだり『負けたぁ…』つって、悲しんだり。

あまり騒がない尚樹も碧都も、楽しそうで。

みんなの姿を見ているわたしも、なんだか楽しい気分になってきた。

結局決まったのは。

一日目は、眞一郎。
二日目は、楓。
三日目に、尚樹。
そして最後の四日目に、碧都。

この順番になった。全部の仕事をしたければ、これをローテーションしてもいいし、やりたいと思った仕事だけ選んでもいい、という選択肢をもらった。

31歳にして、こんな甘やかせてもらえるなんて、思いもよらなかった。

しかも8歳も下の若者たちに…。

「じゃぁ、杏ちゃん?ボクに付いてきてねっ‼︎」
「よ、よろしくね?眞一郎」

自信満々に胸を叩く眞一郎に、ちょっぴり不安になってしまう。

いや、きっと。容姿が幼いから、そう思うだけなんだろう。

ダメだよね、こんなの‼︎差別になっちゃう‼︎

わたしはそう思い直すと、眞一郎の後に付いて歩いた。