「杏は、どうしたい?とりあえず、みんなの仕事やってみる?」

再び尚樹に話し掛けられ、『うーん』と考えてみる。

確かにどれも大変そうだけど、聞いただけで決めつけるのは良くないことだよね。

「うん、じゃぁ。一日一日違う仕事やってみていい?」
「あぁ、そうしなよ」

よかったぁ、これでもうモメなくて済むね‼︎って、わたしが言うのも変な話だけど…。

「じゃぁ、一日目はボクのところね‼︎杏ちゃん?」
「はぁ?なに言うてんねん‼︎ボクのところに決まってるやろ。な、杏ちゃん?」

えぇっ⁉︎それまでも、モメるの⁉︎そんな子供じゃないんだからさぁ…。

でも、モメていたのは眞一郎と楓だけだった。

「どうする、杏。こう言ってる二人の仕事でもいいし。もちろん俺の仕事に付いてもいいよ。って、むしろ俺の傍に置いておきたいけど」
「あー、あははっ…」

ほんとに、いつでもストレート発言するなぁ、尚樹は…。

聞いてるこっちが、恥ずかしくなっちゃうよ…。

「まぁ、碧都がいいんなら、それはそれで仕方ないけど?」

うへっ⁉︎

碧都がいいんなら…?

「それは絶対ないから‼︎」
「そっ。じゃぁ、ジャンケンでもする?」

碧都がいい、だなんて誰が言った⁉︎そんなこと、一言も言ってないじゃない。

若干、碧都の反応は気になったけど、なんとなく見ることができなかった。