先生に許可を取ったわけでもないのに、勝手に決めていいんだろうか。
まずそんな権力、持ち合わせてないだろ。
まぁ、そこがみんなに頼られるとこなんだろうけど。
あと一歩ぐらいで教室から出るってところで作楽の運が尽きた。
ガラリとドアが開き、転校生が顔を見せた。
作楽を見なくても、雰囲気だけで暗くなっていくのがわかる。
転校生を見ていると、視線を感じたのか目が合ってしまった。その目から感じ取れた感情は
嘲笑。
「は…」
一瞬でも“暴力で解決”なんて言葉が頭をよぎった。
殴りかかっていた……英匙が俺の手を掴み制していなければ。
今ばかりは止めてくれた英匙に感謝だ。
「…十六夜さん、でしたよね」
「……………」
無言でこちらを見据える目には楽しさが滲んでいて、キレてることが馬鹿馬鹿しくなった。
英匙はそれに気付かず、痺れを切らしたように口をうごかしていた。