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先生が去って…逃げていった後の教室は賑わっていた。
特に俺たちの周りは煩い。
「完全に逃げたな…」
「まさか俺たちに嫌がらせをするとはね…考えてもなかった」
いや、嫌がらせ、ってわけではないと思うんだけどな?
落ち込む英匙に頭の中だけでツッコんでおく。実際には言えないからな。
今の状態で何か言っても、八つ当たりされるだけだろうから。
あ、これは俺の今までの経験談な。
『やっぱ気になるんだー』
『あの子可愛かったからね~』
やっぱり煩いぞ、外野。
"可愛い"って単語を素直に声に出せるあたり、そこらの女たちよりマシなのかもしれないな。
『このクラス、俺たちにとっては都合がいいかもしれない』
前に、英匙が口にした言葉だ。
このクラスには《媚びは売るけど、自分たちの立場は理解してるから好かれてるのは諦めてる女子》ばかりがいる。
…たまに例外はいるが。
「気分わるい…帰っていいかなぁ」
ポツン、とまるで結界が張られているんじゃないかと思うほどに女子の近付かない場所。
それが作楽の周り。
女子が離れているのは、嫌がっていることはしない、というポリシーのもとらしい。
だから、必要最低限以上は近付かない。
きっとこんな奴らだからこそ、作楽が授業に出られるんだろう。
それが今変わろうとしている。
たった一人の女の存在のせいで……