「マキ、少しは落ち着いた?」



カオルが心配そうに、マキちゃんの顔を

覗き込みながら話していた。



「ん……少しは……でもやっぱりショック

で……あの言い伝えが理由で今まで失踪し

た人がいるなら……

それにその関係したものが、近くにあっ

たと聞いたらやっぱりさ……」



「確かにそうだよね……それを供養してる

って、おじさんは話してたし……

いったい何があったんだろ、昔にさ……

おじさんの生まれる前って話してたし」



俺は、二人の会話を聞きながら、昨夜お

爺ちゃんから聞いた話を、話すことにし

た。



「昨日、俺のお爺ちゃんにまた聞いたん

だけどさ、やっぱりお爺ちゃん何かしっ

てるような口ぶりなんだよな……

言い伝えの事をさ……」



「なにかって?」



「詳しいことは、やっぱり話してくれな

かったんだけどな……」



「ヒデのお爺ちゃんの年代に何か起きた

のかもね……

マキのお父さんの生まれる前なら、同じ

頃になるだろうしさ」



俺達が話す隣では、毎朝騒がしかったオ

サムの姿はなく、静かに聞くだけの姿が

あったんだ。