その日の晩遅くになって、父親とお爺ち

ゃんが疲れきった表情をしながら、家に

帰って来ていた。



「おかえり、どうだった? 見つかった

の? あの子は」



俺はすぐに二人に聞いていたが、良い返

事は聞けなかったんだ。



「いや、村中探したがどこにもいなくて

な。何も手掛かりは無いんだ。

こんな小さな村で、これだけ探してもい

ないのはな……

誰かに連れ去られてなかったらいいんや

がな……」



父親が残念そうな口ぶりで話す。



「そっか……いったいどうしちゃったんだ

ろう……毎年、失踪ばかりさ……」



俺がそう話すと、お爺ちゃんが話に入っ

て来たんだ。



「秀弘、お前も気を付けるんやぞ。

きっと村の言い伝えの仕業じゃ……」



俺は、すぐにはその言い伝えを思い出せ

なく考えていた。