「ただいまぁ!」



木枠に磨りガラスがはめ込まれた玄関の

扉を、横にスライドさせると、すぐ右手

には居間がある。



普段ならこの場所に家族が集まっている

ことが多いのだが、この日は母親の姿だ

けが目に映っていた。




「おかえり、今日は遅かったのね。

またカオルちゃんと話してたんでしょ?

お家に呼んで話したらいいのに。

お母さん、かおるちゃんのズバズバ言う

性格好きなのよね」



「あぁ。まぁ、またカオルには話してお

くよ。

それよりさ、お父さんとお爺ちゃんは今

日いないの?」



「お父さんたちね……

電気屋さんのとこの息子さんがいなく

なったらしくて、村中の大人達が探して

るのよ。あの子……無事に見付かってくれ

るといいんだけどね……」



母親からその言葉を聞いた時に俺は、今

日の昼休みに話していた内容を思い出し

ていた。