女子高生は、怒りだしたりはしなかったが、怪訝な顔はすぐわかった。
「あの、ホントにすいません。怪我とかは・・・」
ありませんかと聞こうとした瞬間女子高生は口を開いた。
「大丈夫です。こちらこそすいませんでした」
そうですか、と涼は呟きながら女子高生の自転車に目をやった。チェーンが外れていたのだ。涼はすぐに直そうとすると、女子高生が先にチェーンに手をかけた。涼は目を疑った。女子高生は一瞬にしてチェーンを直したのだ。
 女子高生は自転車に跨って、ペコッとお辞儀をして走り去っていった。