不快な音を聴かないようにするには?
耳を塞ぐよりも早く、あたしの手は出ていた。
パシャっと試験管の中に入っていた液体をカメラの女にぶちまけた。
ふ、と一瞬その場の空気が固まった。
「マミ、それ、塩酸…?」
写真を囲んでいた女の勘の良い一人がそう言った。
「え? や、やだ…!」
「ごめん、あまりに醜い声が聞こえるから、喉にカエルでも飼ってるのかと思って」
「はあ…!?」
「大丈夫。顔は元々醜いから、整形して美しくなってね」
微笑みかけてやった。ざまあみろ。
あたしだけじゃない、坂井さんの記憶からもあんた等の声や言葉は消えない。
あんた等の中からはすぐに消えたとしても。