───坂井ちゃんかわいそう。
───今度は坂井さんか。
───坂井坂井坂井坂井。
「なに?」
「余っちゃって、一緒に組んでも良い、かな?」
窺うような視線。意味はすぐに理解した。
彼女の後ろでクスクス笑う声がする。あたしが、このクラスに来て三日で拒否反応が起きた声。
「どーぞ」
答えが意外だったのか、一回びくりと肩を震わせて「ありがとう」と小さく感謝して隣に座る。
不登校児とハブられ女子の何が面白いのか、前に座る男女の視線がチラチラとこちらを向く。
彼の方を見たら、こちらを見ていた。目が合って立ち上がりそうだったからすぐに逸らして、突っ伏した。
面倒事にこれ以上巻き込まれるのは御免被る。