どうしてあの教室に、あのクラスに行きたくないかといえば、

あのクラスがおかしいから。

渋々化学の教科書を持って化学室へ向かう。奥に、水をぶっかけてきた男の背中を見つけた。

あ、同じクラスなのか。

あっちは知っていたのかどうか分からないけれど、あたしが教室に居る方が少ないんだから知らない確率は高い。

このイカレたクラスの人間なのかと思うと、不幸というより不運。

一番後ろの席に座って、黒い机の上に教科書を敷いて突っ伏す。点呼の時に起きていれば良い。

「あの、」

近くに人の気配を感じて、顔を上げると、女子が見ていた。

坂井ちゃん、と呼ばれていたのを思い出す。