―卒業式当日―
華やかでどこか寂しい今日という日を迎えた。
教室は騒がしく、さっき配られた卒業アルバムに互いにメッセージを書き込んだり、集まって記念写真を撮ったり
それぞれ思い思いに最後の高校生活を満喫していた。
そんなことより
朝、チラッと紗英と目が合っただけで まだ一言も話してない。
顔も明らかに不機嫌。
もう式も終わって、あとは帰るだけなのに…
昨日の状態のまま。
今、紗英は部活のメンバーで集まってなんか色々やってんのかな。
とりあえず俺と雅紀は、職員室にお世話になった先生方に挨拶をしていた。
「仁、どうすんだよ?全然紗英と話してねぇーじゃん」
「わかってるけど…なんか話しかけにくいんだって」
「昨日の言えばいいんだって!!」
「だからわかってるって…いいからちょっと先に教室行ってて」
雅紀と別れて、俺はそのまま音楽室に向かった。
どうしても、高校生活の最後にやっておきたいことがあるから。