まだ学校のことはよく知らなくて、
放課後、探検をしていた。




「ここが図書室か…」




独り言を呟きながら扉に手をかけると、いきなり扉が開いた。


中から出てきたその人の顔を見て、息をのんだ。
この世の者とは思えない程かっこよかったから。


確か…




「渡邊先輩…?」




そう訊ねると、彼は柔らかく笑って




「そうだよ」




と言った。先輩は、入学してきたばっかりの私達の学年でも有名だけど、生で見たのは初めてで。


図書室の中のカーテンの隙間から漏れるオレンジ色の光が先輩を照らして
物凄く、綺麗だったんだ。